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租税条約協定に伴う源泉所得税 PPh26

Posted:Jun 3, 2021|Category: その他 企業法務

今回はある取引を通して確認した源泉税”PPh26”についてここで共有します。

源泉税とは

請求を受けた側が、請求者の所得税の所得税の納税義務を負い、請求者に変わって納税をするもので、身近の源泉税といえば、予め会社が個人所得税がひかれた金額を受領する、従業員所得源泉税です。

一般的にPPh26は、<海外サービスに対する源泉所得税>と理解されていると思いますが、そのサービス対象は、(技術支援料)(借入金利息の支払)(ロイヤルティー)等すべての支払が含まれており、通常は20%の源泉となりますが、二国間租税協定が締結されている国(日本含む)とインドネシアは、居住証明の発行により源泉税率が軽減されます。

ただし、その対象によって、この軽減率が異なります。
今回確認した具体的な例を通して、ご説明しますね。

日本にある法人のサービスを利用

今回弊社(インドネシアにある法人)が、日本の法人のサービスを利用(ウェブサイト作成)を依頼した際、その際日本法人から発行された<請求書>の金額に対して、このPPh26(20%)の支払いが必要となります、と指摘されたことがきっかけでした。

今までの経験上PPh26の源泉所得税といえば、以下に述べている(借入利息の支払い)に対して発生する源泉税で、居住証明を提出して、10%となるとの理解でした。

その10%以外の税率については課税対象次第で率が異なる等は一切知らずにいたのですが、最近別件で、ある税務コンサルタントに聞いていたのですが、念の為、また別の方にも意見を聞いてみよう、、、と、確認したところ、、やはり新たに確認できました。

二国間租税協定において、今回、この(ウェブサイト作成)のサービス利用については、第7条(サービス対価:Business Profit)に該当するため、居住証明の発行/提出にて、” 0%” となります。

聞いてみて、やっぱり良かった・・・。

日本人とインドネシア人との間の借入利息の支払い

日本人と、インドネシア人との間にローン契約が存在し、その利息の金額に対して、このPPh26(20%)の支払いが必要だが、二国間租税協定、第11条(サービス対価:Interest)に基づき、居住証明の発行/提出にて、10%となります。

参考までに、以下が(第7条)、(第11条)の内容が確認できるページ共有しますね。
全文、英語と和訳が併記されていました。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/A-S57-621_1.pdf
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/A-S57-621_2.pdf

よって、今回まとめると(ウェブ作成会社)のサービスを利用するにあたり、日本の会社の方に弊社は、租税条約協定の元、居住証明を提出いただき、以下の支払いを弊社は行います。

請求金額に消費税が含まれている場合の支払い

  • サービス利用金額
  • 消費税(日本)
  • 海外のサービスを利用した際に発生するPPN JLN(※補足参照)と呼ばれるVAT(インドネシア)

※これは、弊社がインドネシアにて納める費用です。

※この場合、弊社は、2つのVATを支払わなければならないってことになるのですね。またその場合、日本で納付した消費税の<納税証明書>を別途提出いただく必要があり、この<証明書>は別途、インドネシアの税務署へ提出します。

請求額に消費税が含まれていない場合の支払い

  • サービス利用金額
  • 海外のサービスを利用した際に発生するPPN JLN(※補足参照)と呼ばれるVAT(インドネシア)

※これは、弊社がインドネシアにて納める費用です。

(補足)—————————————————————————————————–

PPN JLN:Pajak Pertambahan Nilai Jasa Luar Negeriの略で、英語では Value Added Tax on Overseas Servicesとなり、詳細は、別途以下のページ(Article 2:Obligation of VAT)(Article 3:Tax Rate)に記載されています。

抜粋元
https://jdih.kemenkeu.go.id/fulltext/2010/40~PMK.03~2010Per.HTM

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ただ、ここでサラッと『居住証明書の提出をお願いします。』とお願いしても、そのような手続きに不慣れな方も多いかと思いますので、次回は、過去にご案内した『居住証明書』の取得方法について共有します。

今回の教訓は、

『得た情報については、とにかくまずセカンドオピニオンを確認する!』

これによって、高い確率で新たな新事実、、しかもかなり重要な事実を確認できることがあるという事を改めて実感しました。

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